住まい
環濠の内部より、数か所で居住域が見つかっており、竪穴建物と掘立柱建物が同時に
使われていました。
住居の種類
弥生時代から古墳時代の一般的な建物は竪穴建物で、倉庫などに掘立柱建物が使われていました。
下鈎遺跡では竪穴建物と掘立柱建物が同時に使われていました。
竪穴建物跡と竪穴建物 |
柱穴と掘立柱建物 |
居住域
環濠内部の3か所で居住域が見つかっています。出土した建物跡
(出典:滋賀県、栗東市 発掘調査報告書)
ここでは、竪穴建物と掘立柱建物が見つかっています。これらは混在しているのではなく、ブロックとして固まって存在しています。
住まいは主に環濠内の南部で見つかっていますが、発掘されていない範囲にも多くの建物があったと考えられます。
第1節でも述べたように、環濠内の東側には工業団地が広がっていて、点線で示したように広い範囲に住まいがあったと思われます。 環濠内の西側にも建物が見つかっていますが、発掘調査が及んでいない部分が多く、居住域として推測しています。 環濠内の北部にも掘立柱建物が見つかっています。 この区域は、古墳造営により弥生時代の遺構が壊されていて、弥生時代の遺構が見つからないのですが、2棟の掘立柱建物跡が確認できています。 南部で竪穴建物と掘立柱建物がみられるブロックがありますが、地面の環境(湿度や水の浮き上がり)に応じて建物の形式を変えているとも考えられます。 |
西側の竪穴建物跡 【栗東市教委】 |
祭祀域の建物
次の節で説明する導水施設のある祭祀域に掘立柱建物が1棟あります。これと東側に隣接する区域でも掘立柱建物が数棟見つかっており、同じ居住区とも考えられますが導水施設の区画溝の外側になります。したがって、祭祀域の建物は一般住居ではなく、導水施設に関わる建物と考えられます。また、導水施設の中核である土坑(浄水化の施設)をすっぽり覆う掘立柱建物がありますが、住まいではないことが明らかです。次節で建物の役割を考察します。